レストランで

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おいしいワインとおいしい料理を好きな人と一緒に楽しみに行くのは本当にすばらしいと思います。でもどんなワインを頼めばいいかとか悩んでいるとせっかくのおいしい料理もおいしさが半減してしまうかもしれません。ここでは、ワインや料理を十分においしく召し上がってもらうために簡単なアドバイスをします。


高級なレストランの場合

彼女の誕生日にフレンチレストランに彼女を誘う(私の誕生日に彼が招待してくれる)場合を想定してみましょう。

席につくとワイングラスは右側にセットされています。料理を選んだ後、ソムリエがワインリストを持ってきました。でもリストに載っているのは知らないワインの名前ばかりです。
こうゆう場合、普通の人は赤か白かと値段をみてなんとなく決める事が多いのではないかと思います。でもソムリエは席に来る前に注文した料理を聞いて、この料理だとこのワインとかあのワインが合いそうだなあと考えながらやってきます。折角ですからソムリエの感性にかけてみましょう。

ソムリエにワインを選んでもらうときに重要なのは、「自分と彼女(彼)の味の好み」「予算」です。「味の好み」は赤ワインか白ワインか、フレッシュ&フルーティなライトタイプが良いのか、パワフルなフルボディタイプが良いのか、酸味が好きか嫌いか、タンニン(渋味)が好きか嫌いか、くらいを伝えれば十分でしょう。

そして、とても重要なのになかなか伝えられないのが予算です。

いわゆる「相場」が分からなくて迷った経験をお持ちの方も多いかと思います。でも、ワインに並々ならぬ肩入れをする方もいれば、アルコールは駄目という方もいらっしゃるので本当は「正しい相場」などと言うものは存在しません。そうは言っても目安みたいなものがあると助かりますので超アバウトな目安をお教えします。

大体のお店ではコースメニューというのがあると思います。簡単のためにこのコースメニューの値段をレストランの格と考えましょう。そうするとワインの予算はこのコースメニューの価格と同じくらいが良いのではないでしょうか。もちろんこれより多くの予算をかけてもかまいませんし、これ以下でもかまいません。また高級レストランになればなるほどワインの相対価格も大きくなる傾向があります。量については、ここでは二人で食事する場合を想定していますので、ワインはフルボトルを1本位が適量だと思います。

さて、注文したワインが運ばれてきました。ソムリエは注文したワインに間違いないかどうかラベルを見せてくれますので確認してください。確認が終わるとソムリエは抜栓をしてホストテイスティング用に少しだけワインをグラスに注いでくれます。今日は彼女(私)の誕生日ですから、私(彼)がホストですので私のグラスにちょっとだけ注いでくれます。

実はこれ以前にソムリエはソムリエティスティングを済ませています。万一にもワインが傷んでいたりしていないことを事前にティスティングして確かめるためです。ですから普通の場合ホストティスティングで断るケースは殆ど無いと考えてよいと思います。

まれにワイン自体に問題がなくても自分の好みに合わないので駄目だという方がいらっしゃいますが、お店にもよりますが普通こうゆう場合はワインを取り替えたにしても2本分の料金がかかると考えた方が良いのではないでしょうか。

ホストテイスティングは今では殆ど儀式のようなものになっていますので、気楽に色と香り、そして味わいをチェックしてください。

そうそう、忘れていました。清酒を飲む場合、特に徳利から注いでもらう場合、日本人の習慣としてお猪口を持って注いでもらいますが、ワインの場合はグラスをテーブルに置いたまま注いでもらいます
そして飲むときはグラスの脚の部分を持って飲んでください。これはワインの温度を変えないためです。グラスの底の部分を持って飲むやり方もありますが、飲みにくいので私は脚の部分を持つのが良いと思います。

ホストテイスティングでワインに問題が無ければソムリエに「結構です」とOKを出します。ソムリエはゲストの彼女から順番にワインを注いでいきます。あとはゆっくりお楽しみください。

グラスが空になりかけるとソムリエがワインを注ぎに来ます。無くなったからといって自分で注ぐのはマナー違反です。

最後に食事が終わってもワインが残ってしまった場合ですが、これはお店によって対応が違うので何とも言えません。私は横浜みなとみらいの某ホテルで体調が悪くておいしいワインをボトル半分ほど残してしまった事がありますが、この時はソムリエさん(渋谷さんです)が「お口に合わなかったでしょうか」とわざわざ聞いてくれた上に「お部屋にお持ちになりますか?」ということで部屋に持ち帰ってゆっくり楽しんだ事があります。とても印象に残っています。


カジュアルなレストランの場合

親しい友人や家族と気軽に楽しむようなカジュアルなレストランではワインについてもカジュアルに楽しんで下さい。

ワインリストがある場合でもカジュアルなワインが主体になっていますし、イタリアンレストランなら例えばキャンティ、スペインレストランだったらリオハとかカヴァといったように料理と同じ国のワインを用意しているお店が多いと思います。日本酒と和食の相性が良いのと同じで、その国のワインはその国の料理とも相性が良いようです。

またお店によってはそのお店のお勧めとしてハウスワインといったお手軽なワインを用意しているところもありますのでハウスワインを試してみるのも良いでしょうし、また最近は日本のワインの品質も大変高くなっていますので日本のワインを注文するのも良いかと思います。


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制作・著作:Hideaki Fujimaki
イラスト :Shiho Yamada
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