シエナ通信 (20028月)

 

すっかりご無沙汰しております。皆さん、お元気ですか!

トスカーナ州のシエナに、トスカーナのワインのみを扱う
エノテカ「エノテカ・トスカーナ」があり、
私はそこのスタッフとして働いておりますが、
当店のホームページを立ち上げるにあたり、
今年に入ってからその準備に追われてました。

通販機能を持つウェブとしてシステム等の
基本要因が整い、これから内容の検討へと
一段落したところで、
「ホーッ・・・」と深く息を吐き〜・・・
そのまま念頭にあったシエナ通信の執筆作業もすっかり
バカンス入りしてしまいました。

この間リフレッシュできたお陰でしょうか?
「またメッセージを伝えたい!」という気持ちがふつふつと湧き、
今月より新たに再スタートいたします。

 

こちらの様子は?といいますと、8月の葡萄畑は‘ヴェンデンミア・ベルデ’の時期です。

収穫に向け葡萄の糖分を高めるために、選ばれた房以外を切り落とす作業です。
幹ごとに残る房の数は葡萄によりけりで、平均8房残る場合もあれば、3房の場合もあります。

トスカーナは広いため地域ごとに気候の違いが見られます。

ティレニア海沿いの暑い地方では早めに葡萄が熟すため、
ヴェンデンミア・ベルデの作業は終盤に入りつつありますが、
キャンティ地方はこれからではないでしょうか?

 

さて、これからもトスカーナワインを身近に感じていただけるよう、
見聞きした情景をそのままに、そして身の回りで交わされるイタリア人の会話、ニュースを、
飾ることなく掲載していこうと思います。

そこから、皆様がそれぞれの感想をお持ちいただけたら幸いです。

 

 

 

Chiacchiere 〜おしゃべり〜

 

店内には絶えず会話があります。

スタッフとお客様、スタッフ同士、またはお店に出入りする業者等など・・・

そんなおしゃべりのうちから‘ほ〜んの一部’をここにご紹介しましょう。

 

多くのワインファンに支持される雑誌といえば、アメリカの「ワインスペクテイター」は有名ですが、
その最近号で《ブルネロ97年》が特集として取り上げられ、100点満点を基準とした点数方式で
各ブルネロに評価がなされました。

それ以来、掲載記事のコピーを片手にブルネロ‘97を買い求めるお客さまが目立ちます。

 

「ボンジョールノ!」

アメリカ人の夫人が2人、当店に訪れます。

店内の様子にさっと目を通すなり、バッグから折りたたまれたメモを取り出して、じっと目を落します。

「あッ、スペクテイターね」

「そうだね」

通常、店内にいらした方がゆっくりとワインを見れるように、ある程度の時間を置いてから
コンタクトをとり始めますが、このような目的買いのお客様には簡潔に対応します。

「何かお探しですか?」

私がその婦人の一人と会話を始める頃には、オーナーのパトリッツィオは既にカウンターに
‘ワインスペクターセレクションワイン’を並べ始めます。

そして、ブルネロ24本分を選び発送の手続をして満足気に婦人が立ち去るまでには
5分とかかりませんでした。

 

「ねえ、96点がついているブルネロと、94点のブルネロの差って、何だろうね?」

「ん〜・・・!いろいろとあるんじゃないの?」と同僚のステファノ。

「ねえ、どうしてあのビオンディ・サンティに高得点がついてないのかしら?
ブルネロの生みの親である彼らのこだわりって、今も凄いじゃない!」

 「ビオンディサンティは、この手の広告に積極的じゃなかったんじゃないのかな?」

「そういえば、アメリカ人ジャーナリストが、ビオンディサンティの97年に‘ドリンク’

って書いてたよ!まだ‘ホールド’だと思うけど!!!」とルカが興奮気味です。

 

「そお言えばさ、去年、あんなにアーマのワインの問い合わせがあったのに、今年はめっきり聞かないね!」

「そういえば、そうだ・・・」

 

「とにかく、ガイアも言ってたようにワインスペクテイター誌のお陰で
お客からワイン選びができるようになったんだし、世界的にワインが‘ブーム’から‘嗜好品’に定着したのも
この雑誌の功績のお陰だよ」とパトリッツィオが締めたところで、次の客が入店してきました。

 

「ボンジョールノ!」

 

さて、この客様はどんなワインをご希望なのでしょうか?

 

 

 

葡萄畑

 

日本人オーナー宮川氏のワイナリー『ブリケッラ』を再レポート

 

トスカーナで‘ワインの里’と言えば、ブルネロを生み出すモンタルチーノや
キャンティ地方がまず浮かびますが、サッシカイアの成功を機に今まで知られていなかった土地、
ティレニア海からトスカーナ内陸にかけての小さな土地が新たに注目を集めるようになりました。

そんな土地の一つ、ボルゲリを南下した『スベレート』の地に
日本人オーナー「宮川hideyuki氏」のワイナリー、『ブリケッラ』があります。

軽い好奇心でスタートしたはずが今はすっかりワイン造りに魅せられ、

畑に毎日足を運んでは葡萄の状態を観察する日々を送られてます。

それでは、宮川氏から日本の皆様へ、ブリケッラ農園について語っていただきましょう。

 

1983年、‘開かれた家族運動’に刺激された4つの家族が北・中部・南の地方からブリケッラを求めて集まり、
[みんなで仲良く][きれいなものを美味しく][社会還元]の3つの柱をテーマに持って
共同生活をスタートしたの。
4分の1ずつ払ってね。

最終的には99年に残っていた最後のファミリーが出て、一番スロースターターだった
宮川ファミリーが全部引き受けてたわけ。

その時から農園を再編成して、今で3年半目。

ブリケッラ農園は36ヘクタール。ということは、36万へーベー。約10万坪です。

だから、東京ドーム8個分と言われています。

葡萄の畑が今10ヘッタリぐらいなんだけど、大体12ヘッタリまでで止めようと思ってる。

 

うちは98年まで僕の友達が経営してて、僕らもメンバーだったけれども、

有機で造った葡萄、《有機ワイン》って呼ぶけど、有機ワインはクォリティーとしてまあまあであれば、
飲んで頭が痛くならないし、味もいいし、値段的にもまあまあ、
当時115,00020,000リラ(約9301,240円)だったかな?

そのぐらいの赤ワインができればいいんじゃないか?って思ってたわけ。

 

ラベル一つとるのもスゴク大変なの。

うちは、有機農業組合に入ってるでしょ。

有機農業マークを付けるのには、いちいち許可を得なくちゃならない。

ラベルの後ろにAIAB(アイアブ)(※注1)って呼んでるんだけどそのマークもらうのに、
全部チェックがあるよ。

協会から毎年4回くらい来て大体一日中見るね。

畑が大変なの。

葡萄を作るのにどういう作り方してるか?、どういう農薬を使っているか?

原則的には有機農業っていうのは60年前の農業方式に近いわけ。

第二次世界大戦が終わって、石油化学がグーって伸びて‘石油化学農薬’が出来たでしょ。
それが、有機農業には反するわけなんだね。

大文化論を展開しますと、葡萄どころの話じゃないわけ。

我々は今、自分の体を抗生物質でどんどん、どんどん蝕んでるわけ。

それが、第二次世界大戦後からね。

あのね、‘有機ワイン’っていうのは、ないの。

有機農業で栽培した葡萄を元にして作ったワインってこと。

 

アグロノモ(農業のアドバイザー)でも有機の専門家っていうのは少ないわけよ。

有機農業のフィロソフィーを理解してないとダメなわけ。

エノロゴ(醸造のアドバイザー)もそう。

自分が造りやすいような添加物をどんどん入れるでしょ。修正するために。

ところが、有機栽培の葡萄を使ったワインを造る人は、やっぱり有機のフィロソフィーでやるわけだから。
そこのところは信用できるよね。

動物性蛋白とか、入ってるんだよ。調整するために。

よくお砂糖を入れたら、大騒ぎになるでしょ。

砂糖の替わりに添加物(甘味料)だの、そういうのをディシプリーナで、
自己的に道徳的なものがあるわけ。「これは使っちゃいけません」っていうのがね。

それをアイアブ(AIAB)がチェックするわけ。

アイアブ(AIAB)だけじゃなくて、アンティフローディっていう特殊な警察もあるんだよね。

インチキな国だと思うでしょ、イタリアって。

ある部分でそうかもしれないけど、でも、ある大きい部分ではスゴイ厳しいんだよね。

3年半やってずいぶんいろんなチェックを受けたよ。

 

この地区スベレートは今、ワインで沸いているでしょ。

そしたら我々もワインでいかなくちゃならない。

農園を維持発展させるために付加価値の高い製品を作ろうとすると、ワインしかないわけ。

 

 

―ここでカンティーナに場所を移しお話を伺います―

 

このカンティーナができたのが10年前。

当時、この辺りでは‘それぞれの温度調整ができるシステム’ということで、
最新の技術を誇ってたんだよね。

ところが昔は素晴らしいと思って信じていても

周りがこれ見てビックリしてどんどんよりいいもの造るじゃない。

そうすると、今、専門家が見るといろんなこと指摘するわけ。

例えば温度調節一つにしても、これは一方的にしかできない。

下げることはすごく良くできるけど、上げることはできない。

温度の調整具合がタンニンの出来上がり具合に関係するんだよね。

そうすると、タンニンを少し先行させるとかいう技術を使うことがすごい難しくなってくる。

それができないわけじゃないけど、できるまで待ってるか?それとも即してやるか?

そういう違いがあるわけよ。

vinificazione(発酵)に使う装置は、タンクに3つの温度帯、[かなりの温度][中温][低温]
3つコントロールできる装置がついてないともはや最新とは言い難い。

この装置で赤ワインだって作れるけど、どちらかというと白ワインの方が向いてる装置と言えるわけ。
これでも充分いけるけどね。

それで、ただ「有機ワインですよ!」って威張ってられないなと考えたわけ。

だったら《勝負は何処か?》って言ったら、
普通のワイン市場でクォリティで勝負できるワインじゃないとダメだってことに気がついたんだよね。
有機とか何とか、関係なくね。

それで、《やったろう!》、って思ったわけよ。99年に。

そうしたら、イタリアのワインガイドブックにどんどん登場しなくちゃならない。

有機ワインとしては結構知られているけれど、一般市場ではブリケッラのワインは

さほど有名じゃないからね。

それには、「有機栽培でいいワインなんですよ!」っていうんじゃダメなんだ。

積極的に売り込んでいくけど、プロセスに時間がかかるわけよ。

やっと最新のガイドブック(※注2)2ビッキエーリをとったわけ。

 「ブリケッラというワイナリーがあって頑張ってますよ!」とでも書いてくれればいいかな?
って思ってたんだけど・・・!

最初[ガンベロ・ロッソ]2ビッキエーリという知らせをもらった時、他のガイドブックはどうなのかな?
それも、心配だな?って思って・・・

結局、「ガンベロ・ロッソ]「エスプレッソ」「マローニ」「ヴェロネッリ」とも全部いい点で書いてくれたよ。

スローフードって、ガンベロ・ロッソに付属した本があるんだけど、
あれがやっぱり3つの評価(最高ポイント)を入れてくれたのね。

ガイドブックに関しては、もう充分。

だんだん引き合いが出てきてるから。

あと1〜2年するとガンベロ・ロッソのガイドブックに常連になれるんだ。

単発では絶対にくれないから、彼らは見てるわけ。

畑造りはどうしてるのか?カンティーナはどうなってるのか?

 

これは新しいボトリングマシーン。

これでも150ミリオーネ(約1,000万円)するんだよね。

以前はワインのボトルの口に空気の層が残ってたんだけど、
これが酸化のもとになるになるという説が出始めたんだよ。で、この空気をとっちゃうわけ。

ガスを入れて空気を抜いちゃうわけよ。

 

そして、このコルクが1800リラ(約50円)するの。

サルデニアから来てるんだけどね。

 

あと、今のファッションはバリック。

225リットル入りのフランス製、あるいはスペイン製の小さな樽。

これに入れてうちのDOCの場合は15ヶ月寝かせるわけ。

この樽は3年ごとに新しくしてるの。

これ、捨てちゃうわけよ

1個110万リラ(約68,000円)だから、だんだんワインのコストが上がってきちゃうわけだよね。

新しいワインには新しい樽。

何ヶ月か経ったら、樽を洗浄するために別の樽にワインを入れ換えるわけ。

そういうやり方してるの。カビが生えないように。

時間と共に樽は香りを失っちゃうから、3年間、毎年換えるわけ。

ブルネロで有名なモンタルチーノなんて行くとすごいデカイ樽があるでしょ。

あれは、20年も30年ももつ。

木の香りを当てにしてないからね。

それに比べて、うちのワイン造りは木の香りを充てにしてるの。

それがファッションでもあるからね。

 

やっと2ヵ月後(2002年8月末)には新しいカンティーナが完成するよ。

今までの古いタンクも全部入れ替わるから、是非見に来てよね。

 

 

―宮川氏の運転で葡萄畑を散策しながらお話を伺います―

 

今、スーヴェレート地区のワイン共同組合の
役員になったから、日本への輸出にしても
自分のワインだけじゃなくて、
スーヴェレートのワインとして
考えていかなければならない。

まあ大げさに言えば、
ボルドーやモンタルチーノが
かつてやったみたいなことを
スーヴェレートでも出来るレベルに
来ているわけね。

特に今、フランチャコルタっていって
ブレーシャの大手が2社入っているわけ。

シャンパーヌアみたいなワインを造るんだ。
スパークリングのね。

彼らは60〜100ヘクタール作ってて、
もうあと2〜3年でデビューするよね。

 

スーヴェレートは今、台風の目だよ。

モラッティっていったかな?すっごい大きなカンティーナ造って、1キロ先から見えるんだ。
80ヘクタールくらい作ってるよ。

それから、カーザデイっていって、キャンティのメーカーも隣に来たよ。

 

日本の場合、怖いのは名前が知れるとワ〜ッて来るじゃない。

それはすっごく気を付けなくちゃならない。そうするともう対応できなくなっちゃうからね。
特にうちなんか生産量が少ないでしょ。
だから、3万から4万、5万6万〜8万本くらいまで計画立ててるわけ。
だんだんエンジョイしながらうま〜く伸びてってもらうようにね。

急に、誰もがトゥア・リータのワインみたいに探してもさ、
日本には120本しか輸出できないんだもん。

インポータの間で、120本の取りっ子だよ。

 

アメリカ人受けするためには、アメリカに輸出しなければならない。

うちはまだ、そのレベルじゃないんだよね。

その昔、まだ何も分からないうちにブームに乗った造り手もあるけど、
それは、サッシカイアのお陰なの。

サッシカイアとか、グラッタマッコのお陰。

初期のスーパートスカーナブームを作った人たちね。

その時に上手く乗って行っちゃったワイナリーがある。

僕らはその時、スーパートスカーナも持ってなかったし、
その意味も分からないで「有機・有機!」って言ってたわけだよ。

 

あっ、それからサッシカイアのアグロノモ(農業アドバイザー)と仲良しだよ。

アレッサンドロっていうんだけどね。

よく、日本の俳句をイタリア語でやるでしょ。

彼、そのコンクールで勝って日本に招待されて行ったんだよ。

スゴクいい人なんだよ。

 

今、孫達が来てるでしょ。あの子達にせがまれて3日くらい続けてイノシシ探しに畑周辺を周ったけど、
妻マリーザが一生懸命探したもんだから随分見たよ。

大鹿もいるの。す〜ごい大きい鹿

そういえば、10年くらい前にね、冬だったんだけど、ローマからの帰り夜の12時くらかな?
疲れたから妻マリーザが運転してくれてね、僕は隣でうとうとしてたの。
フワット目が覚めたら、こーんな大きな頭の大鹿が窓のところにいたの。
それで、パッと横切って消えちゃったんだよ。
それがさ、幻なのか?本当なのか?半信半疑だったんだけど一昨日、それを見たよ。遠くだったけどね。
もう、角がスゴイの。

お城に行くとね、リスがwelcome してくれるよ。

この間、welcomeしてくれないからね、「あれ〜、どうしたのかな〜?」

って思ってたら、鷹がいたよ。

鷹がパァーって出てった。それでリスが隠れちゃってたんだね。

 

今案内する場所は、いくつも意義があってね、有意義な場所だと思うんだけど、
これはお隣さんの新しい畑。これは日本でもかなり知られているワイナリー「モンテペローゾ」。

あれがワインスペクテイター誌のトップ10に入っているトゥア・リータでしょ・・・

それからその向こうがグアルド・デル・レ。

ここはゴールデントライアングルだね。

うちの畑は本当にいい所にあるよ。

スベレートの土地がこの10年間で5倍くらいになったんだよね。

このモンテペローゾの土地は入れ替わってるけど、スイス系の人が多いね。

トゥア・リータはピオンビーノ出身の定年退職のお爺ちゃんお婆ちゃん。

お爺ちゃんお婆ちゃんで出来るんだからね。

勘が働いて、人の言うことを良く聞いてね。

最初のエノロゴはルカ・ダ・トーマ。うちと同じだったの。

うちは前の経営者がエノロゴの言うことあまり良く聞かなかったの。

トゥア・リータはよく言うこと聞いて、お給料もどんどん払ったから、
エノロゴさん頑張ったわけね。うちの方はあんまり奮闘しなかったみたいだけど・・・

そういう相性みたいなの、あるよ。

今は、ルカ・ダ・トーマに紹介してもらってチェルタルドの新しいエノロゴさん
ルチアーノ・バンディーニを4年前に頼んで再スタートしました。

 

これがうちのご自慢の畑です。

土が赤いでしょ。

だから、新しいスーパートスカーナの名前は妻マリーザが命名して『ピエートレ・ロッセ(=赤い石)』。

2003年からこの葡萄のワインが市場に登場するので、楽しみにして下さい。

 

(この葡萄園に植えられているバラは葡萄の健康状態をみるためですよね〜・・?)

ん〜、そうは言うけどね、本当はやっぱり綺麗だからね。

やっぱり、ボルドーなんて行くとすごいよね。

もっと、沢山植えてるの。

バラで健康状態を図るといえばね、「ハーッ」てみんな言うけど、
そんなことより、やっぱ毎日葡萄を見てるよ。葡萄の木を。

バラが元気で葡萄が病気ってことも多いよ。

やっぱり葡萄の木の大敵は湿気。

だからね、水が溜まるようだといけないね。

ここはスゴク水はけがいいでしょ。

これだけ照ってもまだ葉っぱが黄色くなってない。ミネラルたっぷりだしね。

今、葡萄の上の方の茎を切っていく作業《チマトゥーラ》が終わったとこ。

それをどんどん伸ばしちゃうと、風で折れちゃうし養分が上にどんどんいっちゃうわけね。

7月は水分のチェックと葡萄の木・実の病気のチェックだね。

ここは、バラがないから余計、注意しなくっちゃ。

 

サンジョヴェーゼの品種にもいろいろあるんだね。

寒さに強いとか、水分を少なめに要求するとか・・・いろいろなクローンがあるんだよ。

最初からその気候に合った苗を植えるわけ。

その苗が間違っちゃうと、大変。

接ぎ木したりなんかしてもいいけど、すごいコストかかるよね。

 

今のことろの葡萄の状態?

欲を言えば、この冬にもっと雨が降って欲しかった。

春先に降ったでしょ。

もちかえしてはいるけど、まだちょっと足りないんだよね・・・・。

 

ブリケッラ農園を訪問したのが6月の下旬ですが、その後、7月に入ってから雨も降り、

この調子でいくと夏の終りにはたくましい葡萄の房がワッサ、ワッサとなることでしょう。

 

12ヘクタールの畑を持つ小規模生産のカンティーナは沢山あります。

今回の宮川氏のように、これらのカンティーナのオーナーは、自分が直接畑を視て周る、
全ての工程において納得のいくワイン造りに携わる。それには、12ヘクタールが限度だそうです。

そういえば、小規模カンティーナが占めるブルネロに関して、
トスカーナのワイン愛好家の間からは《小規模カンティーナの直接的な葡萄への働きかけが、
カンティーナごとの個性ある味を生み出して面白い!》と小さなワイナリーを支持する声がよく聞かれます。

 

今まで、有機の葡萄に拘ってきたブリケッラのワイン。
今後、新しい設備を整えて、更なる味覚の向上に準備は着々と整います。

宮川氏のワイン造りのフィロソフィーは、あくまでもイタリア的。

自然の掟を尊重し、葡萄を子供のように愛し、そして商業的なエゴが先行しない、
いい作品に深い喜びを感じるヒューマン的なワイン造りの姿がそこにありました。

 

このような方々の造るワインを飲めるのは、一種、最高の贅沢ではないでしょうか?

2002年6月29

 

(※注1)AIAB

Associazione Italiana Agricoltura Biologico(イタリア有機農業組合)の略

 

(※注2)最新のガイドブック

=ガンベロロッソというイタリアワインのガイドブック。

   よく、レストランやホテルの評価基準に★の獲得数が用いられるが、

★の代わりにグラス(ビッキエーリ)の数でワインを評価するシステム。

1〜3の表記のうち、3つのグラスマークが最高点。

 

 

 

 

★ 最後に一言

 

いつも通りに8時に店を閉め、
選んだワインを抱えて待ち合わせの広場へ
向かいます。

今日はいつものフェミニンな装いではなく、
ジーパンで。

友達と落ち合い、
中華料理でテイクアウトをしてからいざ、
街の中心、カンポ広場へ!

街中が音楽で賑わうシエナの夏、
今日は恒例の野外オペラがある日です。

今年の演目は「リゴレット」。

開演は21:30
意外とオンタイムに演奏が始まりました。

好奇心いっぱいのイタリア人は、上演中、
黙っていられるわけがありませんよね?

「このアリア、歌詞は最低!
女遊びに慣れた男の勝手な哲学ね!
この部分の歌詞を聞くと気分悪くなるんだけど、
ナンテこったの!
こんなに上手に歌われちゃったら、拍手せざるを得ないじゃない!
なんてこったの!ブラボー!」とブツブツ言いながらも苦笑いで拍手を送る友達。

「あっ!ここのシーンの演出、なかなかやるわね!ブラーボ」と囁く隣の夫人達。

そして、一緒になって歌いだす人に対して、「ッシー!」という、お静かに!の警告の合図も度々と。

ちょっと寝そべってみると星が綺麗で、オペラをバックに見る夜空が、
自分の身の回りのストーリーをオペラ調に演出してくれます。

 

この日のカンポ広場は、様々な人に、
様々なスタイルでオペラを提供しました。

イタリアのオペラコンサートは、ミラノのスカラ座のように
お行儀のよさとステイタスを必要とされる場合が主ですが、
今回のような市町村主催の
無料コンサートも沢山あることは確かです。

庶民の中にある芸術。

庶民が楽しむための芸術。

日常、身近に芸術と接しているイタリア人ですので、
彼らの文化がこれからも受け継がれていくことは
ごく自然な成り行きなのでしょう。

 

皆さんの周りには芸術・文化的な娯楽と
身近に触れ合える機会がありますか?

日本にはイタリアが沢山紹介されていますが、
文化振興におけるイタリア的な思考が定着すると、
日本の伝統文化も、
自然と継承される風習になるような気がします。

 

さて、夜が長い夏ですが、皆さんは最近どんな映画を観ましたか?
何に関心がありますか?そして、どんな希望を持って生活を送ってますか?

気の合う友達とワインを片手におしゃべりが続く、そんな夏の夜をお楽しみくださいね

Buon Divertimento!

 

 

 

 

 

 

 

●トスカーナより、ワインをお届けいたします。

 

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 どれを選べばいいのかわからない?

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などなど、ワインご購入に関するお問い合わせは、

enoteca@palp.com 宛にメールをください。

 

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 以下エノテカトスカーナのサイトより商品のご注文ができますので、
こちらのアドレスにアクセスをお願いします。


http://www.palp.com/italy-wine/