イタリアワインのラベルの読み方

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ワインの法律(イタリアのワイン法)

イタリアはフランスと並ぶワインの大生産国なのですが、1963年に制定された原産地呼称法は「原産地」の保護を重要視しすぎるあまり、ワインの品質という観点では必ずしも十分な法律ではありませんでした。このため、最低ランクに属するワインが最高ランクのワインよりはるかに良質で高価であったりという様なことがあり、実際高品質のワインを生産しながらDOCGやDOCの呼称を得ることを望まない生産者もいました。しかし長年の大議論の末、1992年に新しい原産地呼称法が制定され法律的にも品質を重視したしっかりしたものになってきました。ここでは、この新ワイン法に沿って説明します。この新しい法律ではイタリアのワインを4つに分類しています。

イタリアのワイン分類

上から、DOCG,DOC,VdT IGT,VdTの4つに分けています。

DOCG(Denaminazione di Origine Controllata e Garantita)

日本語では統制保証原産地呼称と訳されます。イタリア最高級のワイン群で現在14銘柄が指定されています。生産量としてはイタリア全体の1〜2%程度に過ぎません。しかし、現在も指定銘柄が増える方向にあります。詳しくはイタリアワイン編で説明します。以下にイタリアワインのラベルの例としてDOCGを採り上げてみました。


一番大きい字で書いてあるのはいわゆるブランド名です。重要なのはその下にあるワインの名前で例ではキャンティ・クラシコという名前になっています。そしてこのワインの格付けがその下にあるDenaminazione di Origine Controllata e Garantitaという記述でこれが最高級の格付けであるDOCGを意味しています。緑の枠で囲んだ部分は収穫年です。その下に生産者の名前があります。紫で囲んだ部分は内容量やアルコール度数、イタリア産の表示です。
DOCGに格付けされたワインは一定以上の品質が保証されていると考えて良いと思います。現在の法律ではDOCGに認定されるための厳しい条件が明記されており,ぶどうの栽培方法から品質評価までこの基準を満たさなければなりません。

DOC(Denaminazione di Origine Controllata)

日本語では統制原産地呼称と訳されます。DOCGの下に位置づけられるワインです。現在242銘柄が指定されていますが毎年のように指定銘柄が増えています。生産量で見るとイタリア全体の12%程度になります。

VdT IGT

(Vino da Tavola Indicazione Geografica Tipico)地理的表示付きVdTと言われるもので、フランスのVin de Pay(地酒)に相当するものです。現在100余りの地区が指定されています。

VdT(Vino da Tavola)

フランスのVin de Table(テーブルワイン)に相当するもので、日常的なカジュアルなワインが多いのですが、上でも述べたようにこのクラスに属しながら、とても高品質のワインを生産する生産者もあり価格も大変高いものが存在します。このようなワインについては格付け表示で判断することは難しく、個々の銘柄や生産者の名前を覚えるしか方法はなさそうです。


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